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従来の捜査の定義

捜査とは、犯罪の嫌疑があるときに、捜査機関が行う公訴の提起・追行の準備活動であって、被疑者・被告人 の発見 、その身体確保、証拠の収集保全をいう。
従来の捜査の定義は犯罪の発生を前提として開始され、未だ発生していない犯罪の捜査を予定していない。
しかし、例えば、覚醒剤の取引が行われるのであろう蓋然性が高い電話の盗聴とか、ひったくりが行われやすい路上の街頭カメラの監視など、犯罪発生以前の捜査の必要性はある。
他方、これらの活動は捜査だとすると、刑事訴訟法上の捜査の原則である、デユープロセス、令状主義の精神をここにも働かす新しい捜査観が生まれている。

刑事訴訟法の話題

新宿歌舞伎町のあまり風紀のよくなかった場所に監視カメラが取り付けられて久しい。
かつてはガラの良くない人がたむろしていた場所が随分安全な感じになった。
こういう防犯活動をどう考えるか法律家として意見を述べてみたい。
私としては、こういう犯罪の起りそうなところをカメラ等で監視するものも、一種の捜査を考えて、令状主義の精神で、きちっと歯止めをかけておくことが必要ではないかと思っています。決して反対しているのではなく、個人のプライバシーとの均衡をきちっととるようにしようという意見です。
以下、従来の「捜査」の定義と新しい捜査の提言をしてみようと思います。

従来の捜査の定義
捜査とは、犯罪の嫌疑があるときに、捜査機関が行う公訴の提起・追行の準備活動であって、被疑者・被告人 の発見 、その身体確保、証拠の収集保全をいう。
従来の捜査の定義は犯罪の発生を前提として開始され、未だ発生していない犯罪の捜査を予定していない。
しかし、例えば、覚醒剤の取引が行われるのであろう蓋然性が高い電話の盗聴とか、ひったくりが行われやすい路上の街頭カメラの監視など、犯罪発生以前の捜査の必要性はある。
他方、これらの活動は捜査だとすると、刑事訴訟法上の捜査の原則である、デユープロセス、令状主義の精神をここにも働かす新しい捜査観が生まれている。

起訴前の捜査

捜査の定義
従来

犯罪の嫌疑の有る場合に、公訴の提起・追行のために犯人を保全し、証拠を収集保全する行為。
 問題提起 
 将来起り得る犯罪について捜査(具体的には、令状の発付とその執行)は可能か。
 伝統的な概念構成
 明治期の警察制度制定時からの考え方は犯罪発生後の捜査活動を司法警察活動とし、犯
 罪発生前の犯罪予防等の活動は、行政警察活動として区別していた。
 新しい定義
 裁判=司法に向けての準備活動
 訴追・裁判手続きへの準備行為で、人権の保障上刑事司法的コントロールに服せしめるの
  が妥当な場合(田宮・変革のなかの刑事法)新しい定義によって捜査にとりこまれるもの
 盗聴
 写真撮影
 オービスⅡ
 など
  
新しい定義のメリット
  強制処分として権利侵害を伴うものについて
  法廷または令状主義の精神に基づく規制が働くことが明白になるが、
   写真撮影
 自動車速度取締装置による撮影
 現に犯罪が行われており、現行犯として逮捕出来るような場合は令状主義の精神に
 反するといえないだろう。
   犯罪発生前のビデオカメラによる自動録音・録画 
 ①犯罪発生の蓋然性が高く
 ②あらかじめ証拠保全をとっておく必要があり、
 ③その撮影、録画が社会通念に照らして相当と認められる
 (東京高裁S63.4.1,東高刑時報39-1=4-8)
           電話の傍受
 プライバシー侵害を伴うから強制処分であり、令状主義の精神により解決されるべ
 電話の傍受については、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律が平成11年に
 成立、同12年8月より施行された。
 これにより、通信傍受の令状が一定の犯罪について発令できるものとされ、かつ
 犯罪発生前の会話でも可能とされた。 
    令状発行の要件     
 ①本法の別表に掲げている犯罪の実行、準備又は証拠隠滅等の事後措置に関す
 る謀議、指示、その他当該犯罪実行に関する事項を内容とする通信(犯罪関連
 通信)が行われるに疑うに足りる状態があり
 ②かつ他の方法では、犯人を特定し、又は犯行の状況を若しくは内容を明らかに
 することが著しく困難な場合

あっさりした離婚とどろどろした離婚

離婚の有責主義と破綻主義とを考えよう。
現在の民法は離婚について有責主義をとっており、相手方が有責な場合だけ裁判上の離婚ができるという建前になっている。
そうはいっても別居後7年とか10年とか経ているものについては裁判所も離婚を認めているのが現状である。
ところで、有責主義の下で、離婚訴訟になったときは、法廷で離婚原因を主張しなければならないが、これは苛烈で、しかも困難なことである。これに対し長期別居など婚姻関係が実質的に破綻しているとの認定は客観的に容易である。
夫婦に有責性の有無を法廷で争わせることがよいかは疑問である。
だめになってしまった、ということが判っているのに相手方に有責性がない、自分が有責だ、という理由で離婚させないのも酷である。そうなっても形骸化した婚姻を続けさせるのは夫婦相互に不幸である。子にとってもよい環境ではないだろう。充分に経済的保障をするのであれば実質的に破たんが認められれば、有責配偶者からの離婚も認めてもよいのではないか。
問題は子のことであり、両親の離婚が子に与える影響である。しかし、不仲なコンフリクト家庭より健全な母子家庭、父子家庭の方が子供の精神上も良いのではないか。親には扶養義務が残るし、心の交流のための面接交渉もある。離婚は緩やかに認めても親子の関係には充分配慮する必要があることはいうまでもない。
色々と考えて、離婚は破綻主義であっさりと、アフターケアはしっかりと、親子関係の、特に子の福祉には充分配慮を、というのが現代の望ましい離婚なのではないだろうか。破綻主義の採用を検討すべきである。

最近の知的財産判例から

朝日新聞7月30日朝刊によれば、東京地方裁判所は、7月29日の判決で「入れ墨」について、創作性を判断し、創作性を肯定著作物性を認める旨判示した。訴えていたのは彫物師で、自分が彫った十一面観音立像が写真に撮られ雑誌に無断掲載されたことについて、氏名表事件、著作権侵害で、発行元の出版社を訴えた。
事件として興味深いものなので紹介した。
ちょっと気になるのが、芸術作品として墨を入れるのは「彫物」という方が正しいのではないかという点である。裁判所で原告は「入れ墨」といって著作権を主張したのだろうか。入れ墨には刑罰としての入れ墨の意味もある(広辞苑)ので、彫師や依頼主は彫物と呼ぶと思うのだが。
いずれにせよ彫物(入れ墨)の著作物性が認められた最初の判決ではないかと思われる。絵画の著作物になるのであろうか。判決文が読んでみたい。

お知らせ

この度、龍村全先生と共編で「エンターテインメント法」という本を出版しました。学陽書房刊です。
定価が7,200円と読者には、あまりやさしく出来ませんでしたが、総頁数587頁で、しかも各種エンターテインメントのビジネスモデルから、法律問題、契約問題、そして、業界のなかなか知られていない慣行(ソフトロー)を各分野の実務の再前線の執筆者が力をこめて丁寧に説明しています。
TV広告契約を出す場合など、エンターテインメント業界との関係のない会社の法務の人も、とまどうことがあるでしょう。その辺もフォローしています。
アマゾンでもどこでも入手可能です。買って損したと思わせることはありません。
乞うご期待。
www.gakuyo.co.jp/book/index.php

ブログを始めます。

これからブログを始めていきます。みなさまにお役にたつような情報を掲載していきたいと思っておりますので、今後とも宜しくお願いします。